太陽光発電の意外な大敵、「鳥害」の基礎知識と適切な対処法

太陽光発電の意外な大敵、「鳥害」の基礎知識と適切な対処法

太陽光発電は環境性能に優れていることに加えて光熱費の削減効果が高いことなどメリットが多いことで知られていますが、それには太陽光発電システムが本来の能力を十分に発揮できることが前提になります。 太陽光が当たらなければ発電量が落ちてしまうことはよく知られていますが、その原因として見逃せないのが鳥害、つまり鳥による被害です。せっかくコストを投じて太陽光発電を導入したのに鳥のせいで十分なメリットが得られないのはとてももったいないことなので、当記事では太陽光発電の大敵である鳥害の基本的な知識と、その対処法について解説します

鳥害ってどんな被害?

鳥害とは一般的に農業の世界で用いられる言葉ですが、太陽光発電の鳥害とは太陽光パネルに鳥が巣を作ったり、フンをされることで日照が遮られてしまい、発電量が減ってしまう現象のことです。 鳥にとって太陽光パネルは雨風をしのぎ、外敵から身を守るためにも好都合であることから巣作りの候補地としては魅力的であるため、放っておくと鳥が巣を作ってしまうことがあります。 巣があると鳥が頻繁に飛来するため、どうしてもフンがまき散らされてしまい、それが太陽光パネルの出力を低下させてしまいます。さらには二次的な被害として鳥の鳴き声が近隣の騒音公害になるといった事例もあります。 それだけではなく、鳥害ではフンに含まれる病原菌やアレルギー物質などによる衛生環境への影響も考えられます。フンが詰まってしまって水はけを悪くしてしまうと思わぬ事故の原因にもなります。 鳥には申し訳ないですが、太陽光発電にとって鳥は大敵なのです。

鳥害やフン害への適切な対処法3選

鳥害を防止する方法として、ここでは3つの方法について解説します。それぞれにメリットやデメリットがあるので、最適な方法を選ぶ参考にしてください。

防鳥ネット

鳥害対策として真っ先に考えられるのが、防鳥ネットといって鳥が近寄れなくなるようにするネットの設置です。ゴミ捨て場にカラス対策としてネットを設置している光景を目にすることがありますが、考え方は同じです。 特に太陽光パネルと屋根の間に鳥が入ってしまい、巣をかけてしまうことが一番の問題なので、防鳥ネットはその問題を防ぐのに役立ちます。 今では太陽光発電システム向けの防鳥ネットも販売されているので、ネット通販や規模の大きなホームセンターなどで入手可能です。 あtだし、防鳥ネットの取り付けは自分自身で行う必要があるため、屋根にのぼって作業をすることには危険が付きまとうことは留意しておく必要があります。

忌避剤

忌避剤とは、鳥が嫌う成分を含む薬剤のことです。多くの忌避剤は鳥が嫌う臭いで鳥の接近を防ぐ仕組みになっているので、鳥に危害を加えることなく鳥害対策を施すことができます。 忌避剤にはスプレーを吹き付けるタイプからジェル状になっているタイプ、さらには固形タイプなど、実にさまざまなものが売られているので用途に合わせて選ぶことができます。 こちらも防鳥ネットと同じく屋根に設置している太陽光パネルの付近に設置する必要があるため、作業の安全確保には十分配慮してください。

電気ショック

接近した動物に対して電気ショックを与える仕組みになっている柵、ネットなどを設置するのも鳥害対策として有効です。価格は少々高くなりますが、同じ場所に行くと必ず電気ショックを受けることで鳥がその場所に対して危険であると学習するようになります。鳥には仲間が危険な目に遭うと他の鳥も学習する能力があるので、数羽の鳥が電気ショックを学習すると他の鳥も近寄らなくなります。

鳥害対策ではやってはいけないこと

ここまで解説した鳥害対策はいずれも、自力で屋根にのぼって作業をする必要があります。それには危険だけでなく、さまざまなリスクや注意点があるので押さえておきましょう。

屋根の上の作業は落下事故に注意

太陽光パネルが設置されている屋根にのぼるというのは、言うまでもなく危険が付きまといます。専門のプロですら万全の安全対策をして作業をしている場所に、素人が十分ではない装備でのぼるのはとても危険です。 万が一落下事故が起きると重大な事態になる恐れがあります。

自力作業では完全解決にならない場合も

鳥の巣は、鳥たちにとって大切な家です。鳥は巣をかける安全な場所をよく覚えているので、一度最適な場所を見つけると何世代にもわたって同じ場所に巣をかけ続けます。高架下やガード下などにたくさんの鳩の巣がある光景を見たことがある方は、それをイメージしやすいと思います。 素人が自力で巣を撤去したとしても、十分な対策をしておかなければ再び巣をかけられる可能性があり、その場合は何度も屋根にのぼらなくてはならなくなります。

病原菌、感染症のリスクがある

すでに解説したように、鳥のフンには感染症の原因になるような病原菌が含まれていることがあります。素人がうかつにフンを触ったり吸い込んでしまうと、思わぬ感染症のリスクに直面することになります。

ポイントは定期的なメンテナンス

鳥害は鳥という生き物が相手だけに、知恵比べの側面があります。大切なのは定期的なメンテナンスや保守で、適切にメンテナンスをしていれば鳥が近寄らない環境づくりも可能になります。 鳥の巣やフンを完全に除去したうえで再び近寄らないように処置をすることで鳥害対策はより万全なものになりますが、こうした仕事が可能なのは専門の業者です。専門の業者には必要な設備と技術があるので、万全かつ安全な鳥害対策を望むのであればプロに依頼するのが最も確実かつ早道です。 鳥害は太陽光発電の出力低下につながるため、長期化するとリスクは深刻です。早期にプロに依頼をして、問題を根本から解決してしまいましょう。

まとめ

太陽光パネルの大敵といえる鳥害について、考えられるリスクと対処法について解説しました。「餅は餅屋」という言葉があるように、鳥害対策もプロに依頼することを強くおすすめします。プロに依頼をするとその分の費用がかかりますが、安全に対策ができることに加えて以後の太陽光発電による収益性を考えると、コストパフォーマンスは決して悪くないはずです。