太陽光発電の隠れたリスクである火災について原因と対策を解説
- 2022.11.10
- 太陽光発電メンテナンスコラム

太陽光発電はクリーンで安全な再生可能エネルギーというイメージが強いですが、実はこの「安全」には条件があります。その条件とは、火災への対策が適切になされていることです。 火災は太陽光発電の隠れたリスクといわれており、実際に火災が発生した事例もあるため、決して甘く見ることはできません。 そこで今回は、太陽光発電の火災リスクについて原因と対策、そして保険でリスクを適切に管理する方法について解説します。
太陽光発電で火災が起きる主な原因
太陽光発電システムは太陽光パネルやその他の各種部品で成り立っていますが、主に火災が発生しやすいのは、以下の2か所です。
太陽光パネルとケーブル
パワーコンディショナー(パワコン)
この2つは火災の発生箇所だけでなく、原因異なるのでリスクを個別に理解しておく必要があるでしょう。
太陽光パネルとケーブルからの出火原因
太陽光パネルやケーブルで発生する火災の多くは、ネズミなどの小動物が「犯人」です。ネズミなどにかじられて中身が露出したケーブルから漏電が発生し、それが火災の原因になることがあります。また、小動物以外にも鳥の糞や落ち葉など燃えやすいものが溜まっているところで漏電が起きると着火してしまうといった火災もあります。これらの原因はいずれも自然に由来するものであり、太陽光発電システムが外に設置されることから不可抗力ともいえます。
パワーコンディショナーからの出火原因
それに対してパワーコンディショナー付近から発生する火災のほとんどは施工時の不具合や初期不良などの人災です。機器を設置する時のはんだ付けが甘かったりしっかりと絶縁処理がされていないことなども火災につながるため、施工業者選びを間違えると大変なことになる恐れがあります。
恐ろしいのは「鋼板等無し型」の延焼
太陽光パネルを設置する際に屋根の防水シートとの間に鋼板を挟む工法だと、仮に太陽光パネル付近で出火しても屋根に延焼する可能性はほとんどありません。しかしこの鋼板がない工法で設置されている場合は炎を遮るものがないため、ひとたび出火すると屋根や家に燃え広がってしまう恐れがあります。 施工の費用を節約するのには有効な「鋼板等無し型」工法ですが、こうした時にリスクが大きくなるので、やはり安全対策にもしっかりとお金をかけるべきです。
火災を防ぐために必要なこと
初期不良や技術不足、手抜き工事などによってパワーコンディショナーや接続箱から出火するのは論外ですが、自然由来の原因で火災が発生するリスクについてはしっかりと考慮した上で適切な対策を講じる必要があります。 自然由来の火災を防ぐために最も有効なのは、メンテナンスです。異常が発生してから修理をするのではなく、何か起きる前から定期的に点検をしてその段階で気づいた問題を取り除いておくと、火災の防止につながります。太陽光発電のメンテナンスには具体的に、3つのステップがあります。
①定期的な点検
数年に1回のペースでも構わないので、プロのメンテナンス業者による定期的なメンテナンスをおすすめします。住宅用の場合は定期点検の義務があるわけではありませんが、義務がないからといって不具合が起きないわけではありません。太陽光発電システム全体の点検をすることで、火災の原因になり得る箇所のリスク予測も可能になります。
②太陽光パネルの清掃
太陽光パネルはメンテナンスフリーだと言われていた時期がありましたが、パネル自体がメンテナンス不要だったとしても鳥の糞や落ち葉などが付着していると太陽光を遮ってしまい、発電量低下の原因になります。しかも部分的に発電していない箇所があるとそこが発熱して火災の原因になるため、リスクを取り除く意味でも清掃は重要です。
③パワーコンディショナーの定期交換
太陽光発電システムの中で、最も寿命が短い機器がパワーコンディショナーです。発電している時間は常に電気の変換をしている忙しい機器だけに寿命は10年から15年といわれており、交換時期が来たら出力が低下する前に交換しておくのがおすすめです。
期待発電量を確保するためにもメンテナンスは重要
先ほどから火災防止の観点からメンテナンスの重要性について解説していますが、そもそも太陽光発電のメンテナンスは発電量の維持を目的に行われています。というのも発電量が低下すると売電収入も低下するため、設置に期待していた収支を出せなくなるからです。 一般的に太陽光発電システムはメンテナンスをしない状態で10年を経過すると、おおむね3~5%程度の発電効率低下が発生します。つまり、売電収入も同じだけ減るということです。これが20年になると15~20%に跳ね上がるので、20年を経過したらメンテナンスをしないことが大きなダメージにつながります。
火災リスクの備えるための保険について
メンテナンスをしていても火災が発生するリスクを完全なゼロにすることはできません。そこで必要になるのが、万が一の事態に備える火災保険です。もちろん太陽光発電向けの火災保険もあるので、建物部分に太陽光発電システムが含まれている火災保険であれば補償の対象になります。 何か起きてからでは遅いので、メンテナンスに加えて火災保険に加入することで万全を期しておきましょう。
まとめ
今回は太陽光発電と火災の関係について解説しました。近年日本全国で設備の老朽化が原因と思われる火災が相次いでいるので、他人事と思うことなく専門業者にメンテナンスを依頼し、さらに火災保険に加入することでリスクのない太陽光発電を目指しましょう。
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