メンテナンスフリーではない?太陽光発電の不具合事例と撤去費用相場

メンテナンスフリーではない?太陽光発電の不具合事例と撤去費用相場

太陽光発電はメンテナンスフリーで、一度設置したら何もする必要がないと言われてきました。これは一部正解であり、一部間違いです。というのも、メンテナンスフリーであるかどうかは設置した場所の条件によりますし、全くメンテナンスをしなければどんなものでも劣化してしまい、本来の性能を発揮できなくなるからです。 さらに、メンテナンスによって見つかる不具合もあります。不具合の中には修理で解決できるものから、撤去を必要とするものまでさまざまです。今回は太陽光発電システムのメンテナンスや不具合、さらに撤去の方法などについて解説します。

太陽光発電システムに不具合が発生する理由4選

太陽光発電システムは、一般的に20年から30年程度の寿命があると言われています。これはあくまでも一般論であり、まだ家庭用の太陽光発電が普及してからそれほど年数が経っていないことから、もっと長く使用できる可能性も十分あります。 仮に20年から30年で寿命を迎えるとしても、他の家電と比べると寿命が長く、それでいて故障の少ない電気設備といえます。 故障に強い太陽光発電ですが、そんな太陽光発電にも不具合が発生することがあります。ここではよくある不具合の原因を4つ紹介します。

不良品による初期不良

太陽光発電関連機器に初期不良がひそんでおり、そのまま設置してしまったことによって起きる不具合事例があります。設置前、設置後すぐに分かるような不具合であれば対処しやすいですが、厄介なのは設置後時間が経過してからジワジワと発覚する不具合です。 海外製の安価な機器の中には十分な品質管理が行われておらず、粗悪品が混じっていることが多いとの声も聞かれます。

施工会社のずさんな工事

太陽光パネルをはじめとする関連機器の設置には、専門的なノウハウが必要です。それを十分に持たない施工業者がいい加減な工事をしたばかりに発生する不具合もあります。これは明らかに施工業者の責任なのですが、太陽光発電ブームの折に乱立した業者の中にはすでに倒産している業者も少なくないため、文句の付け所がなくなってしまう問題も起きています。

自然災害

地震や台風は、太陽光発電システムにダメージを与えることがあります。特に平面上の機器である太陽光パネルは台風によるダメージを受けやすく自然災害によって埋めたダメージが致命的なものとなるケースは数多く発生しています。

鳥害

鳥害とは、鳥による被害のことです。パネル表面にフンを落とされて発電能力が低下したり、巣を掛けられることでその被害が拡大するといった問題があります。鳥が石を落とすことでパネル表面にひびが入ってしまうこともあります。

実際に起きている太陽光発電システムの不具合事例

太陽光発電システムの不具合として、実際に起きている事例を紹介しましょう。ここで件数の多い3つの事例を紹介しますが、太陽光発電は自然が相手の電気設備だけに、他にもさまざまな不具合の事例があります。

ホットスポット(発熱)現象

ホットスポットは「熱くなっている部分」という意味です。太陽光パネルに不具合が起きる原因として業界では広く知られています。ある部分だけ影になって発電できていないようなことがあると、その部分が発熱するといった現象が起きることがあります。 これをホットスポットというのですが、この状態を放置すると発熱からやがて発火につながってしまい、火災の原因になることもあります。 見ているだけでは分からないので、プロによる定期的な点検とメンテナンスが重要になる不具合です。

落下物による太陽光パネル表面の破損

先ほど鳥が石を落とす事例を紹介しましたが、それ以外にも強風で飛んできた石が当たるなど、太陽光パネル表面にものが落ちる、ぶつかることによってひびが入ってしまったりといった破損事例があります。

太陽光パネル表面の汚れ

鳥のフンをはじめ、太陽光パネル表面に落ちにくい汚れが付着すると、そこには太陽光が当たりにくくなるため、発電量の低下を招きます。

使い物にならなくなった太陽光発電システムはどうなる?

致命的な不具合によって残念ながら発電設備としての能力を満たせなくなった太陽光発電システムは、産業廃棄物として処理することになります。太陽光発電パネルは多くの部品でできており、それらは表面のガラスや金属類、陶磁器、プラスチックなどに分類して処理されることになります。 さらに太陽光発電システム全体でみるとパワコン(パワーコンディショナー)や接続箱といった機器もあるため、これらも各部品に分類して処分します。 産業廃棄物には排出者責任といって、ゴミを排出した人が自身の責任で処分する必要があるため、撤去時にしっかりと法律にのっとった手続きを踏みましょう。 その具体的な処分方法については、次項で解説します。

太陽光発電システムを撤去する方法3選

もう使い物にならなくなった太陽光発電システムを撤去、処分する方法を3つの種類別に解説します。

不具合や寿命などの理由で撤去する場合は排出者がポイント

不具合や寿命といった理由で太陽光発電システムを撤去する場合は、誰が排出者になるのがポイントになります。一般的にその太陽光発電システムを施工、販売した業者が撤去の責任を負うことになっているため、利用者の責任によらない不具合や寿命によって撤去する場合は、施工をした業者に撤去を依頼します。 もし初期不良などメーカーの責任で起きた不具合で撤去するのであれば、メーカーが排出者となって責任を負うことになります。

自然災害などで破損した太陽光パネルを撤去する場合

自然災害は人間の責任ではないので、地震や台風などで太陽光発電システムが破損し、撤去しなければならなくなったら所有者(つまりその家に住んでいる人)が自身の責任で処分する必要があります。 なお、細かいことですが屋根の上に設置されている太陽光パネルは産業廃棄物に分類されますが、もし災害などで地面に落下した場合は一般の廃棄物となります。 所有者の責任で処理する必要があるといっても、素人が発電設備に触るのは危険です。破損していても太陽光パネルが発電を続けている場合は感電の恐れもあるので、専門の業者に相談するのが無難でしょう。

家の解体に伴う撤去の場合

太陽光パネル自体に問題はないものの、家を解体する際に撤去するのであれば、それは解体業者もしくはリフォームなどを手がける業者に依頼して撤去してもらうのが一般的です。 ただし、まだ使える太陽光発電システムを撤去してしまうのはもったいないことなので、設置時に家の耐用年数や今後の利用計画を踏まえて検討するようにしましょう。

太陽光発電システムの撤去費用相場

太陽光発電システムを自身の責任で撤去、処分する場合は費用負担が気になるところです。実際のところ、撤去を専門の業者に依頼するとどの程度の費用が発生するのでしょうか。 撤去費用の内訳には作業手数料や人件費、足場設置費用などが含まれます。これらをすべて合計すると、少なくとも20万円程度はかかると見ておいてよいと思います。場合によっては30万円を超えることもありますが、その場合は他社と比較検討するなど妥当な価格の落としどころを探ってみてください。

まとめ

メンテナンスフリーと言われ、故障が少ないことで知られる太陽光発電システムですが、どんな電気製品も完璧ではありません。時には不具合が発生することもありますし、不幸にも自然災害など人智が及ばない理由で撤去を余儀なくされることもあります。 この場合は専門の業者に相談することが解決の早道ですが、表に見えていない不具合を早期に発見して影響を最小限に食い止めるにも専門の業者による定期的な点検とメンテナンスが極めて重要であることを押さえておいてください。